易占い|64卦384爻|04山水蒙と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
山水蒙のメッセージ
山水蒙
䷃
易占いは、得た卦の卦辞と爻辞また各伝を読むほか、上下の八卦の象意や爻のあり方などをみて、問う人が直感でメッセージを選び取ることができるものです。
以下、周易における山水蒙と各爻のメッセージを簡単にまとめました。
少しでも参考にしていただける部分がありましたら幸いです。
- 外卦(上卦)☶ 艮(山)
- 内卦(下卦)☵ 坎(水)
山水蒙は、学びの道を表す卦です。
蒙とは蒙昧のことで、知識や知恵が不足しているためにぼんやりとしていて道理に暗いことを表します。
艮(山)の下に坎(水)があり、霧がかかって見通しが悪く山の全貌が見定められないようなものと捉えることができるでしょう。
また、山の麓の湧き水や地下水の源流はどこにあるのかわからないと捉えることもできます。
山水蒙は、愚かさや未熟さのために現状が把握できずに気持ちや考え方が漠然としていて、進む道が見えなくなっている時です。
このような時は、教育や啓蒙、学びが必要です。
山水蒙の卦には、教える側と教えられる側の正しい心構えやあり方などが示されています。
自ら無知を自覚して主体的に教えを求めていくのが、本来の正しい学びの姿勢です。
無知を自ら自覚することはなかなか難しいですが、常に知るべきことがあるのではないかと自問し続けることはとても大切ですね。
すべての愚かな行為は想像力の欠如から起こりますが、人は自ら気づくことによってしか本当の学びを得ることはできないものです。
時に、求められていなくても「教えてあげたい」「どうしても知らせなければならない」と思って強引に伝えても、本人が求めるまでは本当の知性にはなりません。
教える側の時は、教え込もうとするのではなくヒントを与えるなどして、相手が教えてもらったとさえ思わないよう導くのがベストなあり方と言えるでしょう。
興味や関心自体は他者に与えることはできませんが、自由に表現し続けることはとても大切です。
山水蒙の卦辞には、「初筮は告ぐ。再三すれば瀆る。瀆るれば告げず。」とあります。
これは、易占において「真摯に問うた最初の質問には答えるが、回答を疑って何度も同じことを占えば答えを告げない」ということを意味しています。
易占いをして得た卦が気に入らなかったとしても、まずはそのメッセージを真摯に受け止める姿勢が大切です。
何も行動せずに何度も同じ質問をするのは、誠実さに欠けた行為となってしまうので気をつけましょう。
然るべき行動を取った後ならば状況が変わるので、再び問うことができます。
また、山水蒙は暗い家に住んでいる子どもを表し、子どもに関するなんらかの問題を暗示している場合があります。
幼稚さに難儀することがあるかもしれませんが、未熟さは成熟する前の必然的な段階であり誰もが通る道です。
人は生まれながらに良知を備えているので、幼稚であってもとっさの時には正しいと思う行動をするものです。
子どもの可能性を信じて愛を持って接すれば、必ず良い方向に向かうでしょう。
蒙の卦を得た人こそが、素直な気持ちで教えを請う姿勢を持って努力することで必ず伸びていき、むしろ後々大人物になっていくと言われています。
山水蒙は、他者の愚かさへの対処とともに、自らの愚かさを戒める必要性を教えてくれる卦です。
《各爻の要点とキーワード》
- 🟥愚かさへの厳しくも愛ある指導、だらだら叱り続けると反抗される、自戒を込めて
- 🟧蒙を開く責任を有する、愚かさを包容、治めるべき相手が多い、面倒をみる、代行
- 🟨欲に目が眩む、不正に引きつけられる、そそられる、道理に暗い、慎みがない、不順
- 🟩無知に苦しむ、知識が不十分、情報が足りない、何もわからない、知る努力が必要
- 🟦蒙昧ながら純真、目下にさえ謙虚に教えを請う、知るために力を費やす、純粋、虚心
- 🟪蒙を討つ、退治する態度が過度では良くない、未然に愚かさを防ぐこと、誘惑を断つ
『蒙は、亨る。我童蒙を求むるにあらず。童蒙来りて我に求む。初筮は告ぐ。再三すれば瀆る。瀆るれば告げず。貞しきに利あり。』
参考:易経|64卦384爻|04山水蒙(さんすいもう)の卦辞と爻辞、読み方、変卦など
以下は、自分自身の現状と位を占って山水蒙の各爻を得た場合のメッセージになります。
他者の現状や過去の状況、また未来などを占った場合には、そのように変えて解釈してみてください。
基本的には、自分自身の現状把握と今すべき行動の指針を得るために易を用いることをおすすめします。
山水蒙の初爻
山水蒙の初爻は、陽位に陰で居る不正の不及爻です。
『蒙を発く。用て人を刑し、用て桎梏を説くに利あり。以て往けば吝。』
🟥【現状を占って山水蒙の初爻を得た場合】
愚かさに対して厳しい指導が必要な状態です。
自らの愚かさを戒めるとともに、他者の愚かさへの対処が必要な時です。
愚かさへの対処は始めが肝心で、だらだらといつまでも叱り続ければ反抗してしまいます。
愛を持って、手短に叱るのが良いでしょう。
懲りているかどうかはその後の行動を観察して判断しましょう。
(□)
之卦または伏卦は、山沢損です。
䷃→䷨
参考:易占い|64卦384爻|41山沢損と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
山水蒙の二爻
山水蒙の二爻は、陰位に陽で居る不正の中庸爻です。
『蒙を包ぬ、吉なり。婦を納るるに、吉なり。子、家を克くす。』
🟧【現状を占って山水蒙の二爻を得た場合】
愚かさを包容し教え導く状態です。
無知な者を教え導く責任を持たされているようです。
指導者として多くの面倒な事を抱えて大変な思いをしているかもしれません。
とても骨の折れる仕事ですが、道は次第に開けていきます。
どこまで引き受けるかという範囲を決めておくと良いでしょう。
(◯)
之卦または伏卦は、山地剥です。
䷃→䷖
参考:易占い|64卦384爻|23山地剥と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
山水蒙の三爻
山水蒙の三爻は、陽位に陰で居る不正の過爻です。
『女を取るに用うるなかれ。金夫を見て、躬を有たず。利するところなし。』
🟨【現状を占って山水蒙の三爻を得た場合】
目先の欲に目が眩んで、我が身を忘れてしまう状態です。
本来のあり方を忘れてしまっているようです。
このままでは、正しくないものにくっついてしまいそうです。
今していることに対しては、方向転換が必要かもしれません。
動機に不純さがないかを、見直す必要があるでしょう。
(△)
之卦または伏卦は、山風蠱です。
䷃→䷑
参考:易占い|64卦384爻|18山風蠱と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
山水蒙の四爻
山水蒙の四爻は、陰位に陰で居る正の不及爻です。
『蒙に困しむ、吝なり。』
🟩【現状を占って山水蒙の四爻を得た場合】
自らの愚かさに苦しんでいる状態です。
孤立無援で情報が足りていないようです。
助けてくれる人もいなくて八方塞がりかもしれません。
自分から情報を取りに行く努力をする必要があります。
手間を惜しまずに全力で探せば、助けとなるものが見つかるでしょう。
(△)
之卦または伏卦は、火水未済です。
䷃→䷿
参考:易占い|64卦384爻|64火水未済と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
山水蒙の五爻
山水蒙の五爻は、陽位に陰で居る不正の中庸爻です。
『童蒙、吉なり。』
🟦【現状を占って山水蒙の五爻を得た場合】
純真に教えを請うている状態です。
自らの愚かさを自覚して、主体的に教えを求めています。
目下の者にさえ純粋な気持ちで頼る姿勢を持っているでしょう。
素直で謙虚に相手の話に耳を傾けることができる時です。
このようにすれば、良き指導者に恵まれるでしょう。
(◯)
之卦または伏卦は、風水渙です。
䷃→䷺
参考:易占い|64卦384爻|59風水渙と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
山水蒙の上爻
山水蒙の上爻は、陰位に陽で居る不正の過爻です。
『蒙を撃つ。冦をなすに利あらず。冦を禦ぐに利あり。』
🟪【現状を占って山水蒙の上爻を得た場合】
教える態度が強過ぎる状態です。
愚かさに対して攻撃してしまっては良くありません。
これ以上の愚かさを防ぐよう努めるようにしましょう。
自分自身にも思い上がりの気持ちがないかどうかを自問する必要があるかもしれません。
愚かさは、公正に退治しましょう。
(□)
之卦または伏卦は、地水師です。
䷃→䷆
参考:易占い|64卦384爻|07地水師と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
参考文献:本田濟「易」、高田真治・後藤基巳訳「易経(上・下)」、水沢有「すべてがわかる384爻 易占い」、学研「東洋占術の本 -運命と未来を見通す秘術の大系」ほか
占いの吉凶について
上記のカッコ内には吉凶を記載しましたが、あくまでも目安として参考にしてください。
◎=大吉、◯=吉、□=半吉、△=凶、✕=大凶
易経は占いの書でもありますが、人生のあらゆる状況における指針となる書物です。
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