易占い|64卦384爻|10天沢履と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天沢履のメッセージ
天沢履
䷉
易占いは、得た卦の卦辞と爻辞また各伝を読むほか、上下の八卦の象意や爻のあり方などをみて、問う人が直感でメッセージを選び取ることができるものです。
以下、周易における天沢履と各爻のメッセージを簡単にまとめました。
少しでも参考にしていただける部分がありましたら幸いです。
- 外卦(上卦)☰ 乾(天)
- 内卦(下卦)☱ 兌(沢)
天沢履は、踏み行うことを表す卦です。
卦辞には、『虎の尾を履む、人を咥わず。亨る。』とあります。
虎を前にして危うい時ですが、礼儀正しく慎重に踏み行うならば噛まれずに通り抜けられる時です。
八卦は万物を象徴し、人間関係や家族構成で言えば兌(沢)は少女、乾(天)は父を表しています。
少女のような和やかな態度で踏み行えば、威厳ある父を怒らせることなく進むことができると捉えることができます。
また、兌は悦びや楽しみを意味しますが乾のような剛健さはないので、それを自覚して慎む必要があると捉えることもできるでしょう。
言い換えれば、礼節を失った時には虎に喰われるであろうことも暗示されている卦です。
天沢履は、虎を前にして危険な時ですが、どんな相手が実際は虎であるかは意外と分からないものです。
相手を舐めてかかったら実は虎だったということもあるでしょう。
あからさまに剛強で自分よりも強そうな相手だけが虎であるとは限りません。
一見虎に見えなくても実は虎の役割をしている場合もあるので、相手を甘くみるのは危険な時です。
関わる人すべてに礼を尽くすよう努力しましょう。
天沢履は、何事も慎重さを持って警戒する必要がある時です。
礼節を失って過信して進めば危険な目にあってしまうでしょう。
三爻は、身の程知らずにも踏み行い、虎の尾を踏んで喰われることが示されています。
相手を怒らせてもまだなお反乱さえ企てる愚かさも示されており、完全に失敗している状態です。
四爻は、実力がありながらも従順な態度を保っているので、噛まれそうでいて噛まれません。
知恵や実力があって上手に対応するので、無事に通ることが示されています。
五爻は、自らが虎になっていることを表しています。
過信しており躊躇いを知らず、強引に踏み切ろうとする強い態度があからさまになっています。
支配欲が露見されており、表面をどう繕っていたとしても周囲は感じ取っているはずです。
相手は無言で従いますが、心の底ではどう思われているか分かりません。
そのように踏み切れば、後々は自らが孤立してしまうことにもなりかねません。
自分自身がこのような虎になっていないか、振り返る必要もあるでしょう。
上爻は、人の踏み行ったところの結果を見比べて禍福が現実化する時を表しています。
現状自体が今まで踏み行ってきた結果であると受け入れる必要があるかもしれません。
最後まで振る舞いが良ければ大いに福があるでしょう。
踏み行い方によって吉凶が分かれていく時です。
天沢履は、礼節をもって踏み行うことの大切さを教えてくれる卦です。
《各爻の要点とキーワード》
- 🟥平素の通り踏み行う、欲を持たず素直に進む、やるべきことだけをする、自分の仕事
- 🟧自分の為すべきことを淡々と踏み行う、誘惑に微動だにしない、粛々と行う、世捨て人
- 🟨虎の尾を踏む、相手を甘く見て喰われる、身の程知らず、できるふり、敗れる、反乱
- 🟩噛まれそうなものだが噛まれない、強い力がありながら従順な態度で噛まれない、実力
- 🟦強引に押し切る、躊躇うことを知らない、断固として踏み切る、強気、過信、虎自身
- 🟪行いに応じて禍福が現実化、踏み行い方を問われる、終わりまで行い良ければ福がある
『虎の尾を履む、人を咥わず。亨る。』
参考:易経|64卦384爻|10天沢履(てんたくり)の卦辞と爻辞、読み方、変卦など
以下は、自分自身の現状と位を占って天沢履の各爻を得た場合のメッセージになります。
他者の現状や過去の状況、また未来などを占った場合には、そのように変えて解釈してみてください。
基本的には、自分自身の現状把握と今すべき行動の指針を得るために易を用いることをおすすめします。
天沢履の初爻
天沢履の初爻は、陽位に陽で居る正の不及爻です。
『素に履む。往けば咎なし。』
🟥【現状を占って天沢履の初爻を得た場合】
能力がありながら、低い地位に甘んじている状態です。
欲を出さずに平素の通り、自分の本業を踏み行います。
自分のやるべきことに集中しているでしょう。
このようであれば、行動しても失敗がありません。
素直にしていると良い時です。
(□)
之卦または伏卦は、天水訟です。
䷉→䷅
参考:易占い|64卦384爻|06天水訟と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天沢履の二爻
天沢履の二爻は、陰位に陽で居る不正の中庸爻です。
『道を履む坦々たり。幽人なれば貞にして吉。』
🟧【現状を占って天沢履の二爻を得た場合】
淡々と自分の為すべきことを行っている状態です。
まるで世捨て人のように世間に背を向けて、自分のやるべきことを粛々と行っています。
自分に集中しており、どんな誘惑に対しても微動だにしないでしょう。
自分の身は自分で守るといった覚悟を持っているようです。
後のことは自然に任せておけば良いでしょう。
(□)
之卦または伏卦は、天雷无妄です。
䷉→䷘
参考:易占い|64卦384爻|25天雷无妄と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天沢履の三爻
天沢履の三爻は、陽位に陰で居る不正の過爻です。
『眇にして視、跛にして履む。虎の尾を履む。人を咥う。凶。武人大君となる。』
🟨【現状を占って天沢履の三爻を得た場合】
身の程知らずに踏み行い、虎に喰われる状態です。
相手を舐めてかかって失敗します。
片目をつぶって相手を正当に評価していなかったことが原因かもしれません。
できないのにできるふりをして進もうとしていることも考えられます。
これ以上は深入りせずに、慎んで潔く諦めるべきでしょう。
(△)
之卦または伏卦は、乾為天です。
䷉→䷀
参考:易占い|64卦384爻|01乾為天と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天沢履の四爻
天沢履の四爻は、陰位に陽で居る不正の不及爻です。
『虎の尾を履む。愬々ついに吉なり。』
🟩【現状を占って天沢履の四爻を得た場合】
危険な位置にいますが、慎重さと従順さのお陰で無事に通り抜けられる状態です。
強い力がありながらも従順な態度を保っています。
噛まれそうなものですが噛まれることはなく、無事に通過できるでしょう。
実力があるので、一目置かれているのかもしれません。
正しく温和な態度を保ち続けて事にあたりましょう。
(◯)
之卦または伏卦は、風沢中孚です。
䷉→䷼
参考:易占い|64卦384爻|61風沢中孚と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天沢履の五爻
天沢履の五爻は、陽位に陽で居る正の中庸爻です。
『夬めて履む。貞なれども厲し。』
🟦【現状を占って天沢履の五爻を得た場合】
強引に押し切って事を行おうとしている状態です。
過信しており、断固として踏み行おうとします。
一見好調な時なので、躊躇いを知らないのかもしれません。
相手は従いますが、心の中ではどう思われているか分かりません。
やり過ぎれば、結果的に自らが危うくなるでしょう。
正しい行いをしているか、自問する必要がある時です。
(□)
之卦または伏卦は、火沢睽です。
䷉→䷥
参考:易占い|64卦384爻|38火沢睽と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天沢履の上爻
天沢履の上爻は、陰位に陽で居る不正の過爻です。
『履むを視て祥を考す。それ旋るときは元吉。』
🟪【現状を占って天沢履の上爻を得た場合】
これまでの行いによって、吉凶が実現する状態です。
ここにきて今までの行いの結果が現実化します。
自らの行いの結果がこの現状であると捉える必要があるかもしれません。
正しい行いをしてきた場合には、大いに福があるでしょう。
そうでない場合には、自惚れを改める必要がありそうです。
(□)
之卦または伏卦は、兌為沢です。
䷉→䷹
参考:易占い|64卦384爻|58兌為沢と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
参考文献:本田濟「易」、高田真治・後藤基巳訳「易経(上・下)」、水沢有「すべてがわかる384爻 易占い」、学研「東洋占術の本 -運命と未来を見通す秘術の大系」ほか
占いの吉凶について
上記のカッコ内には吉凶を記載しましたが、あくまでも目安として参考にしてください。
◎=大吉、◯=吉、□=半吉、△=凶、✕=大凶
易経は占いの書でもありますが、人生のあらゆる状況における指針となる書物です。
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