易占い|64卦384爻|12天地否と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天地否のメッセージ
天地否
䷋
易占いは、得た卦の卦辞と爻辞また各伝を読むほか、上下の八卦の象意や爻のあり方などをみて、問う人が直感でメッセージを選び取ることができるものです。
以下、周易における天地否と各爻のメッセージを簡単にまとめました。
少しでも参考にしていただける部分がありましたら幸いです。
- 外卦(上卦)☰ 乾(天)
- 内卦(下卦)☷ 坤(地)
天地否は、塞がって通じないことを表す卦です。
上卦の乾(天)は徹底的に上へ、下卦の坤(地)は徹底的に下へ向かうので、離れる一方で交わらず塞がって通じ難いと捉えることができます。
天地の気が通じなければ万物は生成されないので、暗黒時代と言えます。
天地否は、人としての当然の正しい行為が報われない時です。
そもそも易は君子のものであり、私達のような小人のためのものではないので、君子にとって不運な時を表しています。
小人がのさばり愚者が横行する時は、君子の道は閉ざされることになるのです。
しかしながら、君子や賢者、大徳の人物とまでは言えなくても、小人にも程度の差があり、多くの人は正しくありたいと願い世の中の不条理や理不尽を常に憂えているものです。
今の世の中に生きづらさを感じている人も多いと思いますが、それは正しい努力が報われないためとも言えるのではないでしょうか。
小人が多く蔓延る世の中においては、小人もまた小人によって悩まされ、苦境に立たされることになります。
易の言う小人とは、品位に欠けているだけでなく、思慮が浅く自分の頭で考えることを放棄し、すべての判断を他者に依存する取るに足らない小人物のことを言います。
天地否は、始めは塞がっていますが、最後には喜びがある卦です。
初爻は小人が同類と語らっている状態であり、まさに人が愚者である時と言えます。
しかし、悪に染まりかけてはいますが、まだ外に現れる程には悪くなっていないので、今すぐにでも心を入れ替えることが可能な状態です。
周囲に流されることを止め、自分の意見を持つことによって、いつでも君子に変わることが示されています。
二爻は、小人ながらもわきまえており、正しいことを聞き入れる真面目さを持っています。
大人ならば、つきまとう小人の群れに心を乱さない必要があることが示されています。
五爻は、最もこの状況を憂えている大人であり、暗黒の世を救おうと志す君子を表しています。
易の言う大人とは、どんな困難に直面しても他者に流されず自ら思考し、自らの判断でその運命を積極的に受け入れていく大徳の人物のことを言います。
小人が蔓延る乱れた世の中では、大人が正しく評価されず報われないのは当然なので、大衆の評価は気にせずに心の平安を維持することが大切です。
自分の力のなさを痛感することがあるかもしれませんが、試されていると思って力を養い続け、現状打開のために勇気を持て取り組むと良いでしょう。
時はまだ否の中なので、油断することなく自戒しながら身を潜めて自分自身の身を守ることが必要です。
上爻は、塞がりが極まった状態です。
閉ざされていることや塞がり続けていることも永遠には続きません。
正しい努力をしてきた人は、最後には喜びがあるでしょう。
天地否は、たとえ報われなくても他者のせいにしたりせずに、自分の末熟さによるものと反省して修養に努めることの大切さを教えてくれる卦です。
《各爻の要点とキーワード》
- 🟥同類と語らう、悪に染まりかけている、心を入れ替える可能性、小人が大人に変わる
- 🟧小人ながらわきまえている、大人しく聞き入れる、付き纏う小人の群れに心乱さない
- 🟨包み隠す、秘密を抱えている、油断ならない、企みあれど実行に移さない、羞恥心
- 🟩光が見え始めている、然るべき時を得てから、条件が揃えば、仲間も揃って報われる
- 🟦正しくとも塞がる、泰平に導く君主、大人でなければ不可能な事業、油断大敵、自戒
- 🟪塞がりも永遠には続かない、塞がりを打開、最後には喜ぶ、報われる、待望の時、安堵
『否の人にあらざる、君子の貞に利あらず。大往き小来る。』
参考:易経|64卦384爻|12天地否(てんちひ)の卦辞と爻辞、読み方、変卦など
以下は、自分自身の現状と位を占って天地否の各爻を得た場合のメッセージになります。
他者の現状や過去の状況、また未来などを占った場合には、そのように変えて解釈してみてください。
基本的には、自分自身の現状把握と今すべき行動の指針を得るために易を用いることをおすすめします。
天地否の初爻
天地否の初爻は、陽位に陰で居る不正の不及爻です。
『茅を抜くに茹たり、その彙と以にす。貞なるときは吉にして亨る。』
🟥【現状を占って天地否の初爻を得た場合】
同類と語らっている状態です。
周囲の者に追随しており、自分の意見を言えていないようです。
悪に染まりかけている可能性がありますが、心は自然な方を選びたがるものです。
意識すれば今すぐにでも心を入れ替えることができるでしょう。
小人が君子に変われば、良い結果となるでしょう。
(□)
之卦または伏卦は、天雷无妄です。
䷋→䷘
参考:易占い|64卦384爻|25天雷无妄と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天地否の二爻
天地否の二爻は、陰位に陰で居る正の中庸爻です。
『包承す。小人は吉。大人は否にして亨る。』
🟧【現状を占って天地否の二爻を得た場合】
小人ながらもわきまえており、大人しく言うことを聞き入れる状態です。
正しいことを聞き入れる心を持っています。
小人の群れに付きまとわれても、心を乱さないことが大切です。
道が塞がって身動きが取りづらい時ですが、この状況を泰然と受け止めましょう。
大事を行うと失敗しやすいので、積極的には動かない方が良い時です。
(△)
之卦または伏卦は、天水訟です。
䷋→䷅
参考:易占い|64卦384爻|06天水訟と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天地否の三爻
天地否の三爻は、陽位に陰で居る不正の過爻です。
『包羞す。』
🟨【現状を占って天地否の三爻を得た場合】
包み隠している状態です。
なにか秘密を隠し持っているようです。
表面は良く見える人が、良からぬ企みを持っていることもあり得ます。
自分自身がそのような心を恥じているのかもしれません。
油断せずにしばらく様子を見る必要があるでしょう。
(△)
之卦または伏卦は、天山遯です。
䷋→䷠
参考:易占い|64卦384爻|33天山遯と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天地否の四爻
天地否の四爻は、陰位に陽で居る不正の不及爻です。
『命ありて咎なし。疇祉いに離く。』
🟩【現状を占って天地否の四爻を得た場合】
塞がりが半ばを過ぎた状態です。
塞がっていたことも然るべき運命が味方することによって志を行い得ます。
条件が揃ったならば、徐々に行動していくと良いでしょう。
その際には、志を同じくする者と共に報われます。
光が見え始めている時です。
(◯)
之卦または伏卦は、風地観です。
䷋→䷓
参考:易占い|64卦384爻|20風地観と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天地否の五爻
天地否の五爻は、陽位に陽で居る正の中庸爻です。
『否を休む。大人吉なり。それ亡びなんそれ亡びなんといいて、苞桑に繋れり。』
🟦【現状を占って天地否の五爻を得た場合】
君子が暗黒の世を泰平に復帰させようと志している状態です。
自己を戒めながら、塞がりの状況を留めようとしています。
暗闇にいながらも明るい見通しがついてくる時ですが、油断は禁物です。
自分の身の安全を維持しながら、慎重に忍耐強く努力を続けると良いでしょう。
人からの誘いには安易に乗らないようにしましょう。
(□)
之卦または伏卦は、火地晋です。
䷋→䷢
参考:易占い|64卦384爻|35火地晋と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
天地否の上爻
天地否の上爻は、陰位に陽で居る不正の過爻です。
『否を傾く。先には否がり後には喜ぶ。』
🟪【現状を占って天地否の上爻を得た場合】
塞がりが極まって終わる状態です。
今までの努力によって、塞がっていたものが開けてきます。
どんなに辛い状況も、いつまでも続くわけではありません。
報われる時が近づいており、出口は近いでしょう。
努力によって否を打開する待望の時です。
(◯)
之卦または伏卦は、沢地萃です。
䷋→䷬
参考:易占い|64卦384爻|45沢地萃と各爻のメッセージとは?《人生の指針》
参考文献:本田濟「易」、高田真治・後藤基巳訳「易経(上・下)」、水沢有「すべてがわかる384爻 易占い」、学研「東洋占術の本 -運命と未来を見通す秘術の大系」ほか
占いの吉凶について
上記のカッコ内には吉凶を記載しましたが、あくまでも目安として参考にしてください。
◎=大吉、◯=吉、□=半吉、△=凶、✕=大凶
易経は占いの書でもありますが、人生のあらゆる状況における指針となる書物です。
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