易占い|64卦384爻|16「雷地豫」と各爻のメッセージ《人生の指針》


雷地豫のメッセージ

雷地豫

易占いは、得た卦の卦辞と爻辞また各伝を読むほか、上下の八卦の象意や爻のあり方などをみて、問う人が直感でメッセージを選び取ることができるものです。

以下、周易における雷地豫と各爻のメッセージを簡単にまとめました。

少しでも参考にしていただける部分がありましたら幸いです。


  • 外卦(上卦)☳ 震(雷)
  • 内卦(下卦)☷ 坤(地)


雷地豫は、喜びや楽しみを表す卦です。

坤(地)の上に震(雷)があり、地上に初雷が鳴り響いて、地の中から新芽や虫たちが震え出る春の喜びをイメージすることができます。

初雷は、立春以降に初めて鳴る雷のことで、これにより冬眠していた生き物は目を覚まし活動が始まります。

立春は二十四節気の正節の一つですが、次の正節の啓蟄になると、いよいよ暖かさを感じた虫たちが外に出てくる頃となるため、春雷のことを「虫出しの雷」と言ったりもしますね。

このように、雷地豫は喜びの春をイメージすることができる卦です。

参考:【図解】二十四節気|「正節」と「中気」とは? - Divination.Page


雷地豫は、喜びや楽しさがある時ですが、怠けがちにもなりやすいので、気を引き締める必要がある時を表します。

一陽五陰の卦であり、この卦の唯一の陽は四爻に居て五爻の君主に委任されている大臣です。

四爻は、他の陰が集まって来て楽しみの中心人物となっていますが、あまり目立つと妬みを買う可能性もあるので、調子が良い時だけに油断は禁物です。

初爻は四爻と応じており、心強い援助者の力に乗じて得意気になって楽しんでいる小人です。

喜び舞い上って浮かれやすく、自分が楽しむことだけに夢中になっているので、驕慢な態度にならないよう注意が必要です。

三爻もまた、大臣の機嫌を取ったり顔色をうかがいながらも、かげで自分も楽しみに耽っているので、これもまた速やかに悔い改める必要がある態度と言えるでしょう。

五爻は君位に居ますが、やはり楽しみに耽溺している暗君です。

しかし皆が大臣の方に付いてしまっているので権威が危うくなっており、焦りと不安で息も絶え絶えな状態となっていることが表されています。

このように、雷地豫は楽しむ時ではありますが、そのあり方や態度が問われる時でもあり、慢心や口先だけの軽薄さにはくれぐれも注意する必要があると言えるでしょう。

人が寄り集まって大喜びしている時というのは、ともすれば騙されたり詐欺に引っかかるような事態にもなりかねません。

あまり浮かれずに細かいことも入念にチェックしながら慎重さを心がけることが大切です。

雷地豫の各爻の中では、二爻だけが楽しみに溺れることがなく、皆が楽しみに耽溺している間にも、一人誘惑に負けずに黙々と自分自身の為すべきことに集中しています。

このような態度であれば、いかなる吉凶の兆しさえも速やかに見抜くことができるでしょう。


「豫」という漢字には「予め」という意味があり、雷地豫は事前に準備していたことが実ったり、そのような準備の必要性を教えてくれている場合もあります。

目的を持って準備している時というのは楽しいものですが、高揚感のあまり情熱が先走ってしまっているかもしれません。

基本的に、雷地豫は調子が良い時なので素直に動いて良いのですが、「備えあれば憂いなし」と言うように、楽しい時だからこそ油断せずにしっかりとした事前の準備を欠かさないようにしましょう。

喜び躍り上がっていても、実はムードに流されているだけということもあり得ますし、怠惰になると後でそのツケがまわってきたりもします。

目移りもしやすい時なので、他に気を取られないことも大切です。

目的を一つに絞って、速やかに新しい出発の準備をするのに適している時とも言えます。

そわそわしやすい時ですが、入念な準備があれば、さらに楽しく過ごせるでしょう。

情熱や熱中、熱狂などを意味しますが、このような状態は長く続くものではないので、熱意のある内に、とことん楽しみながら取り組めると良いですね。

また、雷地豫は大地を震動させるような歓喜の歌や音楽を表すとも言われており、音楽が響き渡ることや音楽によって皆が楽しむことも表すとされています。

現状が雷地豫の時は、既に時は動き始めているので、準備が整わない内に幕が開いてしまって焦っている姿を表している場合もあるかもしれません。

楽しみながらも予め準備することの大切さをしっかりと心に留めておきましょう。


雷地豫は、喜び楽しい時であっても、気を引き締める必要性を教えてくれる卦です。


《各爻の要点とキーワード》

  • 🟥自分だけの楽しみを問題としている、喜び耐えず得意気に振る舞う、思いのまま、驕慢
  • 🟧一人楽しみに溺れない、身を正しく保っている、為すべきことに集中、聡明、熟慮
  • 🟨他者の機嫌を取る、顔色をうかがう、上目遣い、陰で楽しむ、こっそり楽しみに耽る
  • 🟩楽しみの中心人物、自分を中心に衆人が和楽する、疑われる、嫉妬注意、助けを得る
  • 🟦楽しみに耽溺する暗君、民衆が臣についてしまう、権威が危うい、見捨てられ疲労困憊
  • 🟪楽しみに耽って目が眩む、耽溺していても心を入れ替える可能性、快楽に迷う、昏迷


『豫は、候を建て師を行るに利あり。』


参考:易経|64卦384爻|16.雷地豫(らいちよ)の卦辞と爻辞、読み方、変卦など


以下は、自分自身の現状と位を占って雷地豫の各爻を得た場合のメッセージになります。

他者の現状や過去の状況、また未来などを占った場合には、そのように変えて解釈してみてください。

基本的には、自分自身の現状把握と今すべき行動の指針を得るために易を用いることをおすすめします。


雷地豫の初爻

雷地豫の初爻は、陽位に陰で居る不正の不及爻です。

『鳴豫す。凶なり。』

🟥【現状を占って雷地豫の初爻を得た場合】

強い援助者の力に乗じて、得意気になっている状態です。

自分が楽しむことだけに夢中になっています。

浮かれ過ぎて、失敗してしまうかもしれません。

相手を侮って、自分勝手に振る舞っているとも言えそうです。

本来の志を思い出す必要があるでしょう。

(△)

之卦または伏卦は、震為雷です。

→䷲

参考:易占い|64卦384爻|51「震為雷」と各爻のメッセージ《人生の指針》


雷地豫の二爻

雷地豫の二爻は、陰位に陰で居る正の中庸爻です。

『石に介たり。日を終えず。貞にして吉なり。』

🟧【現状を占って雷地豫の二爻を得た場合】

誘惑に負けず、楽しみに溺れない状態です。

皆が楽しみに溺れていても、ただ一人志を固く守って身を正しくしています。

このような聡明で思慮深い態度であれば、吉凶のわずかな兆しさえも瞬時に見抜くことができるでしょう。

このまま賢明な姿勢を貫くと良い時です。

(◎)

之卦または伏卦は、雷水解です。

→䷧

参考:易占い|64卦384爻|40「雷水解」と各爻のメッセージ《人生の指針》


雷地豫の三爻

雷地豫の三爻は、陽位に陰で居る不正の過爻です。

『盱豫す。悔ゆ。遅ければ悔あり。』

🟨【現状を占って雷地豫の三爻を得た場合】

相手の機嫌を取りながら、かげで楽しみに耽っている状態です。

上目遣いで相手の顔色をうかがいながら、自分もかげで楽しんでいます。

上ばかり見て、分不相応な高望みをしているかもしれません。

このままでは後悔することがあるでしょう。

手遅れになる前に、態度を改める必要がある時です。

(□)

之卦または伏卦は、雷山小過です。

→䷽

参考:易占い|64卦384爻|62「雷山小過」と各爻のメッセージ《人生の指針》


雷地豫の四爻

雷地豫の四爻は、陰位に陽で居る不正の不及爻です。

『由豫す。大いに得るあり。疑うなかれ。朋盍簪る。』

🟩【現状を占って雷地豫の四爻を得た場合】

大いに人が集まって来て、楽しみの中心人物となっている状態です。

周りに多くの人が集まって来て大いに楽しんでいます。

多くのものを得て喜ばしい時ですが、疑われたり嫉妬されているかもしれません。

誠意を保ち続けるならば、同志が助けてくれるでしょう。

(◯)

之卦または伏卦は、坤為地です。

→䷁

参考:易占い|64卦384爻|2「坤為地」と各爻のメッセージ《人生の指針》


雷地豫の五爻

雷地豫の五爻は、陽位に陰で居る不正の中庸爻です。

『貞にして疾む。恒に死せず。』

🟦【現状を占って雷地豫の五爻を得た場合】

君が臣に制せられている状態です。

自分よりも下位の者の方が重用されており、危うく不利な状況です。

他者の上に乗って楽しみに耽溺していても、不安の方が勝ってしまいます。

自分の地位を守るには、皆に信用される必要があります。

誠実に対応していく努力をしましょう。

(□)

之卦または伏卦は、沢地萃です。

→䷬

参考:易占い|64卦384爻|45「沢地萃」と各爻のメッセージ《人生の指針》


雷地豫の上爻

雷地豫の上爻は、陰位に陰で居る正の過爻です。

『冥豫す。成るも渝ることあり。咎なし。』

🟪【現状を占って雷地豫の上爻を得た場合】

ただただ楽しみに耽溺している状態です。

このような状態は長く続けることはできません。

そのことに気がつけば、すぐにでも必要な行動を取ることができます。

今すぐに心を入れ替える可能性がある時です。

初心を思い出して、志を立て直しましょう。

(□)

之卦または伏卦は、火地晋です。

→䷢

参考:易占い|64卦384爻|35「火地晋」と各爻のメッセージ《人生の指針》


参考文献:本田濟「易」、高田真治・後藤基巳訳「易経(上・下)」、水沢有「すべてがわかる384爻 易占い」、学研「東洋占術の本 -運命と未来を見通す秘術の大系」ほか


占いの吉凶について

上記のカッコ内には吉凶を記載しましたが、あくまでも目安として参考にしてください。

◎=大吉、◯=吉、□=半吉、△=凶、✕=大凶

易経は占いの書でもありますが、人生のあらゆる状況における指針となる書物です。


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